僕はきっと欲張りになった



偶然にメルヘン



 いつでも仕事に追われている彼は部屋に籠っていることが多くて、

 同じ建物に住んでいてもこうして偶然会うことは珍しい.

 後ろの棚から覗いている図はひどく滑稽だと思うのだけど、

 本棚を追う目は真剣で声をかけるべきかタイミングを伺っているうちに今に至る.

 「なにしてんだ、アレン.」

 ふいに振り向いたリーバーは呆れた顔で言った.

 じっと見つめてしまった気恥ずかしさからアレンは曖昧に笑って見せた.

 「お前一人か?」

 クシャリと白い髪を撫でながら、頭ひとつ高い位置から見下ろされる.

 この少しだけ甘くなる感覚は久しぶりだ.



 口には出さないけれど、アレンはふわりと笑うから、きっと撫でられるのを気に入っているのだろう.

 人工灯の下でもキラキラ輝る髪を綺麗だと思う.

 リーバー自身もその柔らかな触り心地を気に入っていた.

 いつまでも髪をいじっているリーバーをアレンが不思議そうに見上げているのも気付かないで、

 周りを見回し金色のゴーレムがいないことを確認する.

 羽音を立てて常に主人の傍を離れないゴーレムをアレンは可愛がっていたし、その様子は微笑ましいものではあるのだが

 リーバーにとっては少し厄介な相手だった.

 「今日はティムと一緒じゃないんだな.」

 リーバーの目線を追って同じように見回していたアレンは、ああ、と納得した顔で頷いた.

 「どこかで遊んでるんじゃないですか.時々勝手にいなくなっちゃうんです.」

 視線を落とせば目が合うのは必然.

 真っ直ぐ向けられる瞳にドキリとする.

 「やっぱりティムの映像記憶機能気になりますか?」

 「いや、そうゆう訳じゃ、」

 「でもティムと一緒にいるときは、こうゆうことしてくれない….」

 ムッとした表情は珍しい.

 唇を尖らせる様は妙にアレンを幼くみせた

 時々見せられる彼の子供の顔だ.

 そのことが嬉しいなんて、きっと彼は思いもしないのだろう.

 正直言えばもっと甘えて欲しいと思う.

 「ティムがいつもお前の頭独り占めしてるだろう.」

 ゴーレムに嫌われているのではないかと思うほど、

 二人でいるときはとくに、彼の頭の上から動こうとしない.

 「じゃあ、今は…、」

 白い頭が白衣に溶け込む.

 「ぎゅってしてください.」

 急にしがみついた子供に思わず笑みがこぼれる.

 耳まで赤くしているのが可愛くて、愛しくてたまらない.



 (無論、彼の望みなら幾らでも叶えてやりたいのだから.)



 小さな背中に腕をまわした.













 相変わらず平和ボケした文ですいません
 いえ、シリアス書く気は毛頭ないんですけどね(笑)
 普通に二人が仲良くしてくれてると嬉しい
 …気まぐれに書き直すかも
 09.03.27